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特別講演②
『筋膜の解剖と生体力学と、ハイドロリリースの作用機序解析』

講師:塩泡 孝介

KKR札幌医療センター 整形外科 医長

2018年のWHOのICD-11で『fascia』という用語が追加され、fascia系が定義された。Fasciaはこれまで『不活性』『不要』とされていたが、原因不明とされてきた様々な病態と関係するとされ、近年注目されている。本邦において、エコーガイド下にfasciaに生理食塩水等を注入するハイドロリリースという治療法が開発された。ハイドロリリースは臨床現場で急速に普及し、その有効性を報告する発表等は増加しているが、基礎研究による作用機序に関する解析は不足している。我々は、ハイドロリリースの作用機序の解析に向けて、主に『解剖学・生体力学』の観点から研究を行っている。

 ハイドロリリースの代表的な対象であるdeep fasciaは、主に腱膜筋膜(aponeurotic fascia, APF)と筋外膜(epimysium, EPI)からなり、それらは密なfibrous componentと疎なloose connective tissueが層状に配列し構成されている。本発表では、deep fasciaの解剖と生体力学についての先行研究をまず紹介する。続いて、これらに関して我々がハイドロリリースに関係して行った研究内容の紹介等を行う。

ハイドロリリースには不明な点が多く、より一層発展するには、ハイドロリリースの有効性と科学的根拠を客観的に示す必要があると考えられる。本発表の後、詳細な議論をさせて頂ければ幸いである。

学歴・職歴 

2013年3月 旭川医科大学医学部医学科 卒業

2015年4月 札幌医科大学付属病院 整形外科 診療医

2018年4月 帯広協会病院スポーツ医学センター

2020年4月  札幌医科大学整形外科学講座 大学院博士課程入学

2023年4月 Padova大学解剖部門 訪問研究員

2024年3月  札幌医科大学整形外科学講座 大学院博士課程卒業

2024年4月 KKR札幌医療センター整形外科 医長

資格免許 

2013年 医師国家試験合格、医師免許取得、保険医登録

2020年  日本整形外科学会認定整形外科専門医取得

所属学会 

日本整形外科学会

北海道整形災害外科学会

日本膝関節学会

日本スポーツ整形外科学会

日本臨床スポーツ医学会

日本臨床バイオメカニクス学会

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